別に、
雨はもとから嫌いじゃなかった
だって雨の日は草食の小動物達も群れるのをやめて早々に家路に着こうとするし
僕はその後の誰もいない、膜がかった道を愛していたし、その中を何も考えずに無数の雨粒に打たれながら歩くのを気に入っていた
以前は、
雨があがった後、顔を覗かせた太陽が、濡れた衣服を温めるのを嫌っていた
今は、
家に帰ろうともせず、呆然と立ち尽くしてはいってしまった夕立を想い、
太陽に嫉妬する
なんということはない、気が向いたから、
そんな理由を連れて彼を訪ねて帰ろう
びしょ濡れの僕を、理由になり得ない理由を、
彼は笑ってくれるだろうか
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