(忍跡大学生設定大阪と東京で離ればなれ)
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雨の車内はやけに静かで。
さっきまで、岳人や宍戸、滝とかジローとか、昔の仲間の近況ばかり阿呆みたいに聞きだして。今度氷帝に顔出してみようか、と俺が聞いたら、馬鹿、もう誰も俺たち知ってる奴なんかいないだろーが、と笑われてしまった。
俺、は。
笑うことが出来なくて不器用に顔を歪めた。
悲しいなあ、と軽く口に出したら、まあなと一言置き去りになって。続く言葉を二人して探したまま。
沈黙。
青春がこんなにいつまでも悲しいくらい痛くて苦しいだなんて、知らなかった。卒業式に強がって流しそびれた涙が、今になって流れそうだなんて、なんてみっともない。